「切り裂きジャック」の夜の散歩ツアーに参加。
こういうツアーはたくさんあるらしく集合場所のTower Hill駅には人だかりが…
私たちのツアーガイドは趣味で演劇でもやっているのか、マイクなしでも声のとおりがよく、とても演劇効果の高い話し方をするので、ワクワクする。126年前に起きた、未解決の連続殺人事件の現場を歩いて回るツアーだけど、第二次世界大戦中にイースト・ロンドンは激しい爆撃を受けたので残っている建物は少ない。微かに残っている景色から、一九世紀のロンドンはどんな様子だったか想像できるように、このお話し上手なおじさんが語る。淀川長治に案内されているのを想像してもらいたい。
しかしあまりのツアーの多さに地元住民が嫌がってツアー禁止の脅威に立たされているらしい。地元住民に報復されることもあるらしい。私たちがゾロゾロ歩いているときも「切り裂きジャック!やったのはお前たちだろう!」と遠巻きに叫んでいる男の人がいた。ただの酔っ払いか。確かに、自分の住んでいるところを「ここは娼婦の溜り場で…」とか「ここでズタズタに切り裂かれた死体が見つかって…」とか毎日聞かされたくはないかも。でも熟練ガイドさんはそういう地元民にも気を遣いながら案内している。
事件そのものについてはネットで調べれば詳しく知ることができるから、それよりもむしろ、「このビルは当時のものだ」とか「こういう細い小路は一九世紀にはあちこちにあった」とか、教えてもらわなければ通り過ぎてしまう風景に対して、案内を聞くことで興味が湧く。ロンドンに住んでいる人には優先順位の低いことなのかもしれないね。私だって15年もサンフランシスコに住んでいたのに、一度もアルカトラズの刑務所跡に行ったことないもん。
イースト・ロンドンはいつも「新参者」がやってくるところらしく、今はバングラデッシュの人なのだそうで。帰りはバングラデッシュ(インド?)のカレーを食べてきた。
ロンドンに三週間いるけど、まだまだ市内でも足を運んでいないところはたくさんあるな。

