ロンドン日記 その3

三カ月もいるんだから、ロンドンのニット・コミュニティも覗いてみようということで、ニット・ナイトに行ってみた。ネットはこういうとき便利。knitting meetupなどと検索すればゾロゾロと出てくる。こんなこともあろうかと、スーツケースの中に毛糸を入れてきてよかった。イギリスの毛糸も買ってみたいけど。

テムズ川の南岸、ウォータルー駅のすぐ近く、ほどよく小汚いけど可愛らしい通りにある。水木と週二日集まれるのもグッド。毛糸屋の奥の壁がバーになっているので酒が飲める。コーヒーやジュースもあるけど。置いてある毛糸は…まあ別に…かな。

しかしメンツがすごい。男が4、5人いる。若い子もおじいさんもいる。一番若いジュード・ロウくずしの男前がニットの腕前もいいらしい。編み方でわからないところがあると主張するオバサンの背後に回り、二人羽織の要領で編み物を教えていた!私も次回あの手を使って、教えてもらいたい。

おじいさんは上半身は哲学者の風采だったが、ふとした拍子に立ち上がったときの下半身が志茂田景樹ふうだったので驚いた。男性陣に加え、黒人が数人、インド・パキスタン系の人が二人、白人が数人、アジア系は私だけという、人種的にも年齢的にもかなりいろんな人が入り混じっていて、編んでいる毛糸も激安のものから野呂っぽい高級なものまでいろいろだった。どこで買った毛糸で編み物してもオッケー、商品の雑誌を立ち読みしまくってもかまわないというゆるさが気に入った。

私の隣でかぎ針でブランケットを編んでいた黒人のオバサンは、まずブランケットの外縁をベルト状に編んでしまってからブランケットの大きさを決め、そのベルトを編みつなげながら、中を編むという目からウロコな編み方をしていた。彼女はソーシャル・ワーカーらしく、あちこちの病院の心療科がやっている編み物クラブにも行っているらしい。毛糸も大穴狙いで中古品のものが売っている店をチェックするか、あとはネット。みんな毛糸の購入には知恵を絞っているのね。ロンドン物価高いし。

なぜか私のアメリカ式メリヤス編みが話題になり、やっぱりイギリスの人はフランス式が多いのだなと知った。あと、誰かが60年代発行のニット雑誌を持ってきていて、その値段が「シリング」だった。イギリスでは1971年にシリングは廃止になったらしく、高齢者たちの間では「昔はポンドとシリングの換算が出来たのに忘れたわ!」と話題になっていた。

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