昨年いろんな方々から島根情報を頂き、ついに島根訪問が実現。思い切り堪能してきました。東京駅夜10時発の寝台特急列車「サンライズ出雲」に乗り、朝10時に出雲市着。初めての寝台列車は、もうその中にいるというだけで大興奮。岡山から山間部を通り抜けて宍道湖が見えたときの感動は旅の気分を一層盛り上げてくれます。
出雲市からすぐに乗り換えて大田市へ。世界遺産の石見銀山をまず訪ねます。大田市までの山陰線は海沿いを走り、場所によってはプラットフォームから浜に打ち返す波が見えます。そう、堤防がない!そして石州瓦の橙色の屋根と山の色がとても美しい!お寺の屋根も橙色!そんな小さな景色が旅のご馳走。
石見銀山では「他郷阿部家」なる武家屋敷を復元改装したお宿に泊まります。ここを経営する群言堂というアパレル会社のことを知らなかったのですが、それについてはまたあとで。お宿到着はお昼前。群言堂の本店のカフェで食事を軽く済ませてまずは銀山へ!
午後1時からボランティアによる無料の銀山案内があります。12月中旬の観光オフシーズンとあり、2時間の散策コースに参加するのは私のみ。ボランティアのおば(あ)さんは「マンツーマンは初めてです」と元気ハツラツ。定年退職後、銀山の歴史を勉強して自分の足で銀山を歩き回っているとのことで、歴史、地理、植物、地域の活動に詳しくて熱心。彼女の指差す方向に銀山の頂上が、銀の鉱脈があることを示す羊歯が、間道が、何某の墓が、寺が、神社が、シニアボランティアによる草抜きの成果が!!!内容が濃い!足が速い!彼女の銀山ラブを私一人で受け止め切れない!!!
でもとても楽しかった。龍源寺間歩の中も歩きましたが、オフシーズンなのでほとんど誰もいない。銀山の町のことなども二人で色々お話しながら3時間は経過したでしょうか。もう他人とは思えないほど濃密な時間を過ごしました。
この大森町はテーマパークのような「作られた感」がほとんどなく、ありのままの生活感が溢れていて、おみやげもの屋さんで町がひしめき合うということはないようです(オフシーズンに行ったから分からない)。でも銀山の町らしく人に訪ねてきてほしいという努力は感じられ、家の軒先に散策する人たちが楽しめるような花がいけてあったりします。人口420人で高齢化や過疎化も進んでいるし、24時間体制で観光客を受け入れるキャパもなければそのつもりもなさそうな、自然な感じがとても気に入りました。
日暮れとなり他郷阿部家へ。ここは群言堂という会社がやっていて、その経営者である松場登美さんは三重の人。全国で講演して歩き著書もたくさんある有名人。そんなことは何も知らずに、友達の「(クラフト好きだから)絶対ここは気に入ると思うよ」という一言でやってきて大正解!宿は素敵、パジャマや寝具は群言堂のもの、お料理は若々しくて美味しい地元の素材を使った家庭料理、本棚には私の好きな白州正子や宮本常一の本が並ぶ。夕飯はもう一組の宿泊客である視察団と、群言堂のデザイナーさん、そして松場さんご夫婦とご一緒しました。類稀なる社会勉強の機会でもあり、「やっぱりな」的な認識を深める夜でもありました。本当ならもっとリラックスした状況で松場さんご夫婦とお話がしたかったです。
阿部家の入口付近
(BEFORE/AFTER のビデオ拝見。この改修のすごさが分かる)
朝食後、折角だからと群言堂本社を見学させてもらいました。夜のうちに松場登美さんのインタビュー本を読んだので、ちょっと知恵をつけた状態での見学です。本当にこんな過疎の村によくこんなにも若者がいるね!と驚きます(100人も雇用しているのだそうで)。ただふらっと銀山を見に来ただけなのに、まるで視察に来たみたいなことを言っていますが…
帰りのバスの時間を大幅に間違えて、レンタサイクル屋のおじさんとほんとうにどうでもいいことを長話。ここでは悠久の時間が流れているのでした。
また行きたい。





