聖痕

なかなか面白うございました。私が今までに読んだことのある筒井康隆のSFっぽい話とはかなり違い楽しめました(SFはちょっと苦手)。

最近北米でバカ流行する本はひとつひとつの章がとても短くて、チャッチャッと素早く読破できるような構成になっているものがとても多いですが、「聖痕」には「章」なんてのはなくて、「ここまで読んだら休憩しよう」という空白・切れ目がない。おまけに古語や枕詞なんて雅やかな言葉がずらずら出てきて脚注の解説を読みながらでお目目は左右に忙しく動く。朝日新聞に連載されていたのね。どうやって区切って掲載されていたのでしょうか。折角だから巻物で出版してくれれば面白かったのに。どうせストーリーも人生絵巻物ふうだし。

一息つくタイミングを失い結局一気に読みましたが、最後は壮大なスケールに話が及んで神々しさが滲み出てきたあたりから、光源氏が終の棲家を設計し愛人を住まわせ万事めでたしとなった様子が脳裏を掠めましたが、愛に生きた源氏とは正反対の主人公でした。

私もこういう高雅な語彙を増やしてブログってみようかしら。仕事でカタカナを使うことが非常に多い私はこんな麗しげな言葉に憧れます。漢字変換作業が大変そうですが…

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