歴史を変えた誤訳

積読状態で何年も放置していたのをやっと読みました。2004年発行で、内容は中曽根/レーガンの首脳会談だとか、日米構造協議だとか、湾岸危機での自衛隊派遣を巡る日米防衛協力指針だとか、当時の日本を賑わしたニュースの「誤訳」について書かれたもの。

「誤訳」たって故意に行われているものや、故意に「誤訳」と言われて通訳者・翻訳者が泣き寝入りするものだってあるのですから、この職業に就いていなくたって一読に値します。

すると、なんとタイムリーなことに、フェイスブックのお友達&同業者がこの記事を紹介していました。
http://news.goo.ne.jp/article/newsengw/world/newsengw-20120711-01.html?pageIndex=1

これこそ、鳥飼玖美子さんがこの著書で取り上げている内容と同じことです。今は、ネットで海外メディアの日本ネタを追うのもチョチョイと簡単にできますから、国内外での「温度差」はすぐにキャッチできてしまうけど、この記事を書いた人のようにちゃんと重要なところを押さえて冷静に分析してくれるのは素晴らしいですよね。フェイスブックでシェアしてありますが、まだ読んでいない人は是非読んでください。

ちなみに、こういうのって日本語だけじゃないですよ。韓国とアメリカの首脳会談でもあるし、トーマス・フリードマンなどは中東諸国のリーダーの英語の発言と母国語での発言と全然違う、と著書で公言してるし。どこの国も言葉を戦略的に使っているという証拠ですね。

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ところで、今頃になってどうして私がこういう本を読んでいるかといいますと、鳥飼玖美子さんも本書で言ってるけど、翻訳や通訳に携わる人は一生言葉の勉強しなきゃいけないんです(キリリ)。

翻訳歴17年ですが、私は亜流のスタートを切り(小さな翻訳コンテストに応募したら賞を取った)、いきなり現場に引き込まれ、クライアントに袋叩きにあいながら修行したので、翻訳について書かれた本を読んでいる暇がなかったのです。つまり、「あなたの望む翻訳をいたします」というドMな翻訳者なのです。ドM翻訳者のはけ口はブログで、「好きなように翻訳させて」と勝手に歌詞翻訳したりしてるわけ。

たとえて言うなら、お針子で縫うのに必死だった子がパリコレを見学して、インスピレーション高めるてる感じかな。

ちなみに、私が知らない言葉が出てくると辞書を引く習慣を持ったのは小学生のときで、ラジオで郷ひろみが「本を読んで知らない単語が出てきたら必ず辞書を引く」と言っていたので、マネをし始めたのがきっかけです。あれで読書習慣が大きく変わったのですから、ヒロミに一番感謝すべきかもしれません。

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