とある突貫工事で有名な訳本を読んで独りで盛り上がっています。
同業者だけど分野が違うし、翻訳者としての位置づけが全然違うので、大作を翻訳したこともないので、勉強のためと思って、原作と訳本を読み比べたりしてるわけです。批評家みたいに上から目線でアラを探しているわけではありません。キリリ。
という前置きをしておきまして、本題。
しばらく前に英語の原作を読んだ上に、有名人の話なので事実関係は既知のものとなっているわけですが、訳本のほうで、結婚もしていないのに離婚、というのが出てきたので、と驚きました。「あれ?私の勘違いなのかな。私ってよく勘違いするからな。」と自分を疑ってしまいました。そもそも、そこに行き着くまでにも色々あったのですが、この時点で「大丈夫なのかな、信用して…」と思ってしまったわけです。だって、重要な事実なんです、大筋からいって。
そんなことよりも、文章が読みづらい… 母国語じゃない英語のほうが読みやすかった。なぜ読みづらいかというと、誤訳が潜んでいるからではないだろうかと強迫観念が出ているのと、単に文章力の限界ということなのかもしれません。これは突貫工事ゆえんのことなのでしょうか。「旬な人」の本をまさにその旬冷めやらぬ時期に出版しなくてはならなかったのでしょうか。
ああ、でも超大手出版社から出ていますよ、この本…
本の値段も見ちゃったわー。高いね。
こんなこというオメーは何様だよ!と、とりあえず自分で言っておきますね。罪悪感あるし、苦労のほどは同業者であればこそわかるので。
で、本題ですが、ある程度翻訳をやっている人ならば、この読み比べから得るものは大きいと思います。なぜかというと、訳しづらいであろうと思われる部分を研究できるからです。
1. 第三者からの引用が多い。
「…..」と誰それは言った。
というのが最初から最後までたくさん出てきます。そして、ややこしいことにその「第三者」がたくさん登場してきます。
2. 口語表現が多い。
それはつまり、男女の差、話者の年齢差や世代などなどで結構訳が変わるということでもありますね。
ま、そういうことを踏まえて、じゃあ自分ならなんて訳す?と練習してみるといいかも。たとえば、1段落選んで、「大いに訳文を改善できる」と思うところを3箇所だけ直してみるとか。修正箇所を限定させるのは変かもしれないけど、全部書き直すと「マイウェイ」にしているだけで、どうでもいい枝葉に時間をとっても仕方がないし。
