今回の旅のお供。
梁石日は割りと好きな作家ですが、「カオス」は「最後まで読ませておいてコレかよ!という感じ」と言う人から貰った本です。ですから最後を楽しみに読みました。確かに終わりに近づくにつれ、これでもか!といろんなものがブチ込まれてきましたが、その割りに… というエンディングでした。
梁石日が好きな理由は、ギラギラと脂ぎった作風や、私の知らない世界を垣間見るのが好きだから。「カオス」も例にもれず、というところでしたが、エンタメとして読んでいれば最後はワハハで終わったかなと。笑ったけど。確かに、これまで読んだ彼の作品にしては劣るものがありました。途中で燃料切れになっちゃったのかもね。
そして、別の人から、断捨離ということで「海の仙人」をもらって読みました。薄いペラーンとした冊子ですが、中味もペラーンとしていました。芥川賞候補作品なのですが。こんなことを言ってはアレですが、海の仙人であるファンタジーがこのストーリーの文学性をぶち壊しています。カテゴリー的にこれはヤングアダルト、ジュニアにしたらいいのではないでしょうか。セックスレスで暴力もないので格付け上にも問題ありませんね。自分のことで必死になっている余裕はないお年頃の人(大人)がわざわざ読まなくても、という気がします。その、言いたいことがわからないわけではなくて。芥川賞候補ということでなければ、こんなに毒づかなかったのではないかと思います。ということは選考側を批判してるってことですね、私。
なんと説明すればいいのでしょうか。ミニマリストな文学と幼児のクレヨン画は別物です。聡明だけど寡黙な人と、言葉足らずでバカな子は違う。でもこれは、この本そのものの批判じゃないですよ。こういうストーリーが好きというのは大いにアリです。
この本について語って盛り上がりたいな。

